スポーツ科学を大学で専攻しているスタッフ遠藤が、夏の自由研究と題して自転車の悩みを解決するために考えていく連載コラム!
最終回の第四回目は「自転車と食事」について考えます。
スポーツバイクに乗り慣れてくると食事にも気を付けたいけど、具体的に何をすればいいか分からないという方は多いのではないでしょうか。
私は高校入学くらいまでは、細身の体型で筋肉が付きづらく、自転車に本格的に乗り始めてからは、何度かエネルギー切れになったことがあり、その他にも食事で改善できる悩みはかなり多かった印象です。消費カロリーが多く、運動中に食事をとる面をみると、少し特殊なスポーツであり、食事面での悩みは多くなりやすいと思います。
そこで今回は、食事をとるうえで留意するべき点と、シーンごとに食事例を考えていきたいと思います。
【栄養素と消化時間】
食事からとれる栄養素には役割があり、それぞれ適切に摂取する必要があります。また、運動中に関しては消化時間も併せて考えられるとより良く、栄養素と消化時間のバランスを考えて食事を考えられることが理想だと考えます。
〈栄養素とはたらき〉
ご存知の方が多いと思いますが、五大栄養素の振り返りをしておきましょう。
最近はダイエット目的で炭水化物の量を抑えた食事が流行ったりしていますが、運動をするうえで重要なエネルギー源になるので、必要な量はしっかりと食べる必要があります。
また、忘れがちなのがビタミン、ミネラルです。一日にとらねければいけない量は多いわけではありませんが、とても大切な栄養素なので一日一個果物とチーズを食べるといった工夫が日常生活でできていると、とてもいいなと思います。
引用:https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/nutrition/myhealth/nutrition/five_major/
〈食品と消化にかかる時間〉
食品ごとに胃内停滞時間(≒消化にかかる時間)が全然違うことが分かります。
基本的には、加工や加熱がされているもの、繊維質でないものや油の少ないものは消化が早く、加工や加熱がされていないもの、繊維質なものや油の多いものは消化に時間がかかる傾向にあります。
引用:https://yasuyo31.com/stomach-meal.html
【シーン別食事例】
〈ライド前日〉
ライド前、特に前日は食べたものを消化するまでの時間に余裕があります。そのため消化の早いものを選んで食べる必要はないと考えます。また、有酸素運動時に素早くエネルギーに変換できる炭水化物を事前に蓄えておくことで、翌日のパフォーマンスの向上が望めます。
具体的には、普段の食事プラス白米をお茶碗一杯分食べたり、ふかし芋をおかずに加えると良いんじゃないでしょうか。
〈ライド前半〉
ライド当日のトラブルとして多いのが、エネルギー切れによって体が思うように動かなくなったり、吐き気を感じたりするハンガーノックです。ハンガーノックを防ぐために、ライド前半から補給をする必要があります。また、初めからゼリーやジェルに頼ってしまうと、ライド後に普段の食事が喉を通りづらくなってしまうため、初めの方はなるべく咀嚼する必要のあるものが望ましいと考えます。
具体的には、カロリーメイトやグミなどの固形物が適していると考えます。
〈ライド後半〉
ライド後半では、胃にあまり負担にならず、素早くエネルギーに変わるゼリーやジェルが適していると考えます。
ゼリー類で選択肢がある場合は、高カロリーなものが運動中の補給には適しているので、なるべく製品の裏に印字されている成分表を見て選んでみてください。
〈ライド後〉
ライド後は体内で不足した栄養素を補うために、基本的なバランスの良い食事を心がければ問題ないと考えます。体を作るのに欠かせないたんぱく質はもちろんですが、たんぱく質の吸収を助けてくれるビタミン系や炭水化物を摂るために野菜やお米も忘れずに食べてくださいね!(ゆで野菜は生野菜に比べて消化が早いため、疲労が大きい場合は、ゆで野菜の方が適しているかもしれません)
いかがでしたでしょうか?最終回の第四回は、「自転車と食事」について考えてきました。自転車に乗らない日でも使えることが多い内容だと思うので、ぜひ日常生活に取り入れていただければと思います。
最後までご覧頂きありがとうございました。自転車に限らずスポーツでは、自己流でやっていたり、習慣を何となく続けていることが多いんじゃないかと感じる場面が多くありました。そこで、体のしくみから考えて工夫をすることの楽しさを伝えつつ、自転車の悩みを解決できるコラムにしようと思い、古川店長たちの後押しもあり、この企画をすることができました。
このコラムを書くために教科書や授業内容を見直したり、さらに詳しく調べたりして私の学びも深めることができました。これからはメカニックとしての力を付け、専門領域の勉強もさらにすすめることで、より多くの場面でお役に立てるように頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします!
SBC横浜あざみ野店
遠藤