昨年末にコナトライアスロンの直後に発表となりトライアスロン界で話題となったFACTORの新型SLICKがあざみ野店でご納車となりました!!
今回はフレームセットからのオリジナル仕様での組立をご依頼いただきましたので、お客様のこだわりの一台を隅から隅までご紹介致します!!
新型SLICKのフルモデルチェンジの内容としては、最新のUCIプロファイルを考慮した設計とOSTRO V.A.M2.0で得られたエアロ性能と車体の運動性能を基に、1からトライアスロンフレームとして作り上げる事だったようで、トップチューブに付属している700mlのハイドレーションタンクとその後部のバッグを取り外せばUCI規定のTTレースで使用することも可能な造りとなっています。
しかし、その作りは各所にトライアスロンの比重が大きくなるような配慮が見られます。
代表的な部分であれば前述でもあるトップチューブにマウントができるようになっているハイドレーションタンク(700ml)とベントーボックス、加えてダウンチューブの空洞を利用したストレージスペース、その中にはチューブやCO2ボンベ、タイヤレバーやマルチツールをまとめて入れられるオリジナルジップケースが付属していて、そのまま使用することが可能!!
多様なポジションを構築できるコックピット
このNew SLICKのコックピットはトライアスロン・ロードの2面で名の通った”Vision(ヴィジョン)のMETRON TFA Aerobarが付属します。
このハンドルの特徴としてはまずステムとハンドルが”半一体型”完全に一体ではないのですがセット仕様になっているもので、何故完全一体型にしないのか…そこにトライアスロンでも使用ができる配慮が隠れています。
なんとハンドル部分を分離・180度反転させて装着することでベースバーの高さを25mm変化させることができます。
これは何のためか…
基本的にTT/TRIバイクではバイクサイズに対する適正身長が大きくラップ(適正範囲の重なり)するようになっていて、ライダーの求めるDHポジションを構築しやすいようになっています。
例としては古川は身長が175cmありますが、このSLICKならば52or54でポジションを作ることが出来てしまいます。直進安定性とハンドル位置を高くしたいなら54サイズだし、アグレッシブにハンドル位置を低くしたい・ハンドリングを良くしたいなら52サイズといった具合で選んでいくのがセオリーとなります。
最大70mm迄積載可能な専用設計のDHバースタックスペーサーと、0~16度までの角度調整が可能なチルト機構、エアロと快適性・整備調整性能を考慮したDHバー、前後左右の調整量に富んだアームパッド構造
トライアスロンでは距離も長く90km以上のミドルディスタンス以上のクラスではDHバーポジションを取るのは必須(体力の温存と効率性を鑑みて)、しかしながら距離が変わればおのずと求めるポジションも変わるもの、そこにも対応できる懐の広さは安心感が違います。
また、初めてTT/TRIバイクを乗るときのポジションと競技に慣れてきたときに求められるポジションも異なり、その都度変更・更新をかけられる。将来的な可変性も担保されているのは最高の一言につきます!!
ポジションの自由度をつかさどるサドルクランプ構造
サドルをクランプする通称”ヤグラ”の構造も特殊な形状となっていて、通常のロードバイクやTTバイクではoffset(オフセット)と呼ばれるシートポストとサドルをクランプするヤグラの取り付け位置が20mm、25mmと固定されていて、変更は出来ずサドルレールの調整量での調整かそれで調整しきれない場合は、オフセット量が異なる(0mmなど)シートポストを買い直す必要性があったりします。
このSLICKに採用されている構造ではそれが、自在に変更できるようになっていてシートポストの芯から前後に約20mmずつ移動させることが可能です。そこから更にサドルレール分の調整量が加算されますので非常に可変域が多いのが特徴です。
バイクに対する体の位置を決める最重要部分でもあるため、細かい微調整ができることも含めて、とても優れた形状です!!
分かりやすい目立つカラーリング
今までのSLICKでは控えめなブラックやカナダ国旗の様な鮮やかな赤と白のフレーム色でしたが、新型ではご納車させていただいたNebula Blueと、もう一色Shadow Whiteがあります。
トライアスロンバイクではトランジションエリアで目立つことを想定して派手めなカラーリングとすることが多々あります。これは単純に自分のバイクを探しやすくするためで、1レース大きい大会だと200台近いバイクがトランジションエリアに並ぶことを想像すると、自分のバイクに何かしら目印が無いとなかなか見つけ出しにくそうですよね💦
そのため、各メーカーは少し派手めなカラーをチョイスしたりもしています!
その中でもご納車をしたNebula Blueは迷彩模様の青と黒で、他にはないカラーリングだけどもしっかりとカッコ良さも纏った、流石FACTORと言った感じのカラーデザインだと古川もお客様も思っております!!(笑)
カッコ良さと性能を向上させるホイール
このSLICKのカッコ良さを更に引き上げている立役者はそう迫力満点!!
80mmのリムハイトを持つZIPP Firecrest 808 DBです!!
80mmハイトなのにその重量(公称)1,635gと見た目と裏腹に軽く出来ている…
そして何よりトライアスリートなら殆どの方が憧れを抱く”ZIPP”というブランド、空力特性を最大限発揮し、走行時に起こる抵抗、風抵抗・重力抵抗・転がり抵抗・振動抵抗を包括して考慮した製品開発を行っているこのメーカーはホイールにも”ディンプル”加工を施して、わざと小さな乱流をホイール表面上に発生をさせて必要以上にホイール近くと空気が流れるのを防ぐような特殊な加工を施しています。
またその上位モデルにはリム形状がギザギザとしたノコギリ形状のNSWシリーズと呼ばれるものもあり、メチャクチャよく走ります(笑)
また前述の振動抵抗や風抵抗の観点から、なるべくタイヤとリムの境界で段差を生じさせないようにするフックレスリムと呼ばれるタイヤをひっかけるフックが無いストレートサイド形状を採用していて、軽量性とタイヤを含めたエアロ性能の向上に寄与しております✨また今回は相性の良いVittoria CORSA PRO TLR (700x28C)を選んでいただき、走り心地と転がりの性能の両方を高次元で発揮できるようにオススメさせていただきました。
確実な変速でタイム短縮と体力を温存できる電子シフト
フレーム組みをご依頼頂いた最たる理由がこのコンポーネント問題でした。
新型SLICKではShimanoコンポーネントの完成車販売が無く、すべてSRAMのコンポーネント搭載車となっています。
簡単にShimanoのTTコンポとSRAMのTTコンポの違いを上げてみます
シマノは全て有線で接続されているのに対して、SRAMは完全ワイヤレスでも組むことが可能!!シマノは車両フレーム格納式のバッテリーから全てのパーツに配線が繋がっており1バッテリーで稼動するため電池交換が不要で充電管理だけ行えばOK!!
SRAMは変速にバッテリーが付いているため、それぞれを充電する必要があり、手元のスイッチもBlip BOXに対して有線接続をさせる方式・Wireless Blipsで完全にワイヤレスで設定する場合でも、電池切れが起こった場合はボタン電池・もしくはWireless Blipsの交換を行わないといけない少しの手間が出てきます。とはいっても稼働時消費電力は相当に少ないので2年ほどは継続使用が出来ます。
あとは見た目の部分で好みが分かれるのもShimanoとSRAMの特徴でしょうか?
造形的な見た目の美しさなども見られるShimanoか、機械工業的で無駄のないSRAMか,、と言った具合にクランクやリアディレーラーなどの大きめのパーツの印象で、バイク全体の印象もガラっと様変わりするので見た目で選ぶのも良いのでは?
古川のおススメ的には流行りのフロントシングルギアで組み立てるならSRAM 1xでの組立がおススメ!!
(上写真:S-WORKS SHIV TT SRAM 1xコンポーネント仕様の例)

お客様のこだわりと、古川のおススメが詰まったこのバイクいかがだったでしょうか!?
TT/TRIバイクはサイズ選定はサイズチャートだけでは決められない難しいポイントがいくつもあります。
しっかりと相談できるお店に任せることが重要です!!
またトライアスロン向きのコンポーネントなのか、TT向きのコンポーネントなのか等、当店ではそういった部分をしっかりとご説明してご納得いただけるように努めております!!
トライアスロンのバイクパートタイム短縮や新しくロードを購入したいなどのご相談があれば是非、当店まで!!
以上、New FACTOR SLICKのお客様カスタム車体のご紹介でした!!
SBC横浜あざみ野店
古川